移動スーパーFC「cocomart」の収益と課題

日本の総人口に占める 65 歳以上の割合は 2024 年時点で 29.3% と過去最高を更新し、今後も上昇が見込まれています。

これに伴い、日常の買い物を自力でこなせない “買い物弱者” は都市部にも広がり、食品アクセスに困難を抱える高齢者は 2025 年には約 598 万人 に達すると推計されています。

こうした背景の下、トラック一台で生鮮食品や日用品を届ける移動スーパーが急速に普及し、なかでも 「ココマート」フランチャイズ(FC) は加盟店網を拡大して “買い物空白地帯” のインフラを担いつつあります。低コストで参入できる一方、燃料費の高騰や人手不足といった運営コストも顕在化しており、「高齢化ニーズ」と「運営コスト」 の両面から収益性を評価することが欠かせません。

本記事では、

  1. 移動スーパーの事業モデルと cocomart FC の特徴
  2. 初期投資と月次収益のリアル
  3. オーナー事例から見える成功要因とリスク

を順に掘り下げ、「社会貢献と収益性を両立できるビジネスか?」を検証します。フランチャイズ加盟を検討する際のチェックリストとしても活用いただければ幸いです。

目次

cocomartとは?|移動スーパーの概要と事業モデル

高齢化社会における移動販売の役割

日本の高齢化率は 2024 年時点で 29.3% に達し、今後も上昇が見込まれています。これに伴い、スーパーまで500 m以上離れ自家用車もない高齢者──いわゆる “買い物弱者”──は 2010 年の 382 万人から 2025 年には 598 万人へ 56 %増 と推計され、都市部でも深刻化しています。

移動スーパーはこうした“空白地帯”に週2〜3回定期巡回し、生鮮品・日用品を自宅前で販売することで 「食のアクセシビリティ」 と 「見守り機能」 を同時に提供できる生活インフラです。固定店舗と異なり出店コストが低く、狭い商圏でも採算を確保できるため、過疎地域や郊外住宅地で急速に導入が進んでいます。

cocomartの事業スキームとフランチャイズモデル

cocomart は 「提携スーパー+個人オーナー(FC)+本部」 の三者連携型スキームです。

  • 提携スーパー
    • 毎朝 400 品目前後の商品を卸値で供給。販売後の残品は店舗に戻せる「委託販売」に近い形を採用し廃棄リスクを低減。類似ビジネスの とくし丸 も同様方式を採るため、在庫リスクの小ささは移動スーパーFC全体の強みといえます。
  • オーナー(加盟店)
    • 専用車両を運転し、1日平均 40〜50 ヵ所を巡回。売上の 約 85〜90% を取り分とし、そこから燃料費・人件費を控除。ロイヤリティは 売上の 5〜6%で、月次サポート料に一本化されている点が特徴。
  • 本部
    • ルート設計、POS/在庫管理アプリ、販促ツール、開業研修を一括提供。エリア重複を避けるテリトリー制を敷き、オーナー同士の競合を緩和。

初期投資の目安は 550〜650 万円(車両改装・冷蔵設備・加盟金含む)で、委託販売モデルを採るため仕入れ保証金は 30 万円前後に抑えられています。類似業態と比べやや高めの車両カスタム費が掛かる一方、加盟金が低く回収期間 2.5〜3 年が目安とされています。

取り扱い商品・価格帯・競合との違い

  • 商品点数
    • 軽トラック 1 台に 約 400 品目/1,200〜1,500 点 を積載。生鮮3品(青果・精肉・鮮魚)と惣菜・日用品で売上の8割を構成するのは、業界大手 とくし丸 と同水準です。
  • 価格政策
    • cocomart は「店頭価格+10〜15 %」を基本線に据え、値上げ幅を抑えてリピート率を高める戦略。競合の とくし丸 が1品 +20 円の一律上乗せルールを採るのと対照的です。
  • サービス差別化
    • キャッシュレス対応
      • 本部提供アプリで交通系 IC/QR 決済にフル対応(高齢者家族の遠隔支払いニーズを想定)。
    • 見守り報告
      • 訪問時の生活状況を家族へ自動通知するオプション(月額 1,000 円)があり、介護事業者との連携を強化。
    • 地域独占権
      • 半径 5 km 以内の独占営業権を付与し、エリア被りを防止。

これらにより cocomart は「低価格+見守り+独占テリトリー」を前面に打ち出し、既存大手とは異なるポジショニングを確立しています。

開業にかかる初期費用と車両設備

移動スーパー cocomart を始める初期投資は 「加盟金+車両関連費+仕入れ保証金(デポジット)」の3本柱 で構成されます。業界平均が 300〜400 万円とされるなか、cocomart は提携スーパーとの委託販売や IT 支援ツールを標準装備する分、550〜650 万円前後 が目安。とはいえ多くを占めるのは車両改装費なので、中古車活用や自治体補助金を併用すれば 100 万円超の圧縮余地があります。

加盟金・車両リース料・仕入れ保証金の内訳

項目金額の目安補足
加盟金0〜110 万円募集期のキャンペーンで減免例あり
車両関連①買取:350〜400 万円(新車+改装一式)
②リース:頭金 50 万円+月額 6〜7 万円/5 年
とくし丸 のリース頭金 50 万円が相場指標
仕入れ保証金20〜30 万円委託販売のため廃棄リスク小さく低額
研修・保険・備品40〜60 万円3日間研修、制服・レジ端末など含む

合計:550〜650 万円(リース利用時は現金支出約140 万円+月額固定費)

販売車両の種類とカスタマイズ仕様

  • 軽トラックベース(総重量 2 t 未満)
    • もっとも普及。中古ベース車は 100〜120 万円で流通。FRP シェル+-20 °C冷凍冷蔵庫、引き出し式棚4段、手洗いシンク、1800 W 発電機を搭載するフル装備例で追加 150 万〜200 万円。
  • 1.5〜2 t 普通車(タウンエース/エルフ等)
    • 積載量を拡大し、半日で 500 点前後を販売できるタイプ。冷蔵庫2機+発電機を標準とし、改装費は 250 万円〜。
  • 2 t 超ワイド車
    • イベント兼用や複数スタッフ運営向け。総重量が 3.5 t を超えるケースが多く、中型免許が必要。

カスタマイズ共通オプション・・冷凍ユニット2系統化(-25 °C対応)、ソーラーパネル補助電源、レシートプリンタ内蔵 POS、車外放送スピーカーなど。高齢者向けに前面電動ステップや大型サイドオーニングを付ける事例も増えています。

運転免許・保健所対応などの法的条件

区分主な要件
運転免許総重量 3.5 t 未満は普通免許で可。2017/3/12 以降取得者は上限 3.5 t、超過する場合は準中型以上が必要。
食品衛生
責任者
営業車1台につき1名必須。各都道府県食品衛生協会講習(半日・費用 6,000 円前後)で取得可。
営業許可・届出2021 年改正食品衛生法により全国基準統一。移動販売は保健所へ「飲食店営業」「野菜果物販売業」等の許可/届出が必要。
車両設備
基準
HACCP に沿った衛生管理、冷蔵庫に温度計設置、手洗いシンク+給排水タンク、耐水性内装。

ポイント

  • 車両総重量を 3.5 t 未満に抑えれば普通免許で運転でき、オーナー候補を広く確保できる。
  • 保健所基準は自治体で細部が異なるため、出店予定エリアで事前に仕様図を提示して確認するのが無難。
  • 冷凍冷蔵庫の定格消費電力と発電機容量のバランスを誤ると夏場に温度逸脱リスクが高まるため、設計段階で専門業者へ負荷計算を依頼すると安全。

月次売上と収益構造

平均売上・粗利率・営業利益率の目安

  • 月商
    • 既存移動スーパーとくし丸1,429 台の全国平均は 88 万円/月。cocomart は商品構成が生鮮比率高めで客単価が1,200〜1,400円とやや高い分、120〜150 万円/月を標準レンジとする開業例が多い。
  • 粗利率
    • 委託販売のマージンは 17〜20% が業界の相場。cocomart も提携スーパーからの仕入れ手数料で同水準(例:売上10万円なら粗利1.7〜2万円)。
  • 営業利益率
    • 固定費(車両リース・保険・ガソリン)を差し引くと 10〜15% に落ち着くケースが多い。月商130万円なら営業利益は13〜20万円が目安。

指標まとめ

指標目安補足
月商120〜150 万円客単価 1,300 円×1日50〜60 人×25 日稼働
粗利率17〜20%委託販売マージン
営業利益率10〜15%ロイヤリティ5〜6%込み

ガソリン代・保険料・仕入れロスの実態

コスト項目月額の目安コメント
ガソリン代3.5〜4.5 万円京都府のとくし丸事例(月25日稼働)
自動車保険料1.5 万円前後同上
車両リース料/償却費5〜6 万円新車リース5年契約モデル
ロイヤリティ+システム料売上の5〜6%本部アプリ・販促支援料
仕入れロス1〜2%未満売れ残りは提携スーパーへ返品可のため廃棄リスクが小さい

ガソリン価格の高騰局面では燃料費比率が粗利の 20%超 に達しやすく、訪問ルート最適化やアイドリングストップの徹底が利益防衛のカギとなる。

収支黒字化ライン(月商と訪問件数の関係)

1 カ月の固定費を 約11万円(ガソリン4万+保険1.5万+リース5.5万)と仮定し、粗利率18%とすると 月商62万円 が損益分岐点。

  • 月商62万円÷客単価1,300円 ≒ 480 人/月
  • 25日稼働なら 19〜20 人/日 を安定確保すれば黒字化。

実際のオーナーは 1日40〜60 人を巡回し、客単価1,300円×50人=日販6.5万円 → 月商 162 万円 に到達できれば、営業利益は 16〜24 万円(利益率10〜15%)と中堅サラリーマン並みの手取りを実現できる計算になる。

ポイント

  • 開業6〜9カ月目が顧客リピート定着の山場。黒字化の前倒しには「初月から1日30人」を目標に地域周知と試食イベントを集中投入。
  • 売上を上げるよりも燃料費・残品率の低減で利益感度が高い。巡回距離を 5% 圧縮すると、年間で約6万円のコスト削減インパクトが生まれる。

このように cocomart の収益は 「客数×客単価」よりも「粗利を守りながら固定費を抑える運行効率」 が左右します。開業前に自宅―営業エリア間の移動距離や高低差、停車スペースの有無を綿密にシミュレーションすることが、着実な黒字化への近道です。

運営実務と1日のスケジュール

商品積み込み~販売~補充の流れ

AM 7:00 – 9:30|仕入れと積み込み

  • 提携スーパーのバックヤードで青果・精肉・惣菜など 約400品目/1,200点 をピッキング。前日に受けた予約票をもとに個別発注分も確保します。
  • 冷蔵庫温度(3 ℃以下)と発電機出力を確認し、アイスボックス・保冷剤を追加して鮮度劣化を防止。

AM 10:00 – PM 5:00|巡回販売

  • ルートは曜日・時間帯を固定した40〜50ヵ所/日が基準。住宅街の“止めポイント”と施設(公民館・介護施設)を組み合わせます。
  • 各停車は10〜15分。商品を素早く平台に並べ、常連客の嗜好を踏まえた「御用聞き提案」で客単価アップ。
  • 真夏は30 分おきに庫内温度をチェックし、要冷品を補冷剤で囲むなど熱ダレ対策を徹底。

PM 5:00 – 6:30|帰着・精算・清掃

  • 拠点店舗に戻り、売れ残りの生鮮品を返品。精算はハンディPOSで集計し、不足があればその日のうちに確認。車両荷室を高圧洗浄・アルコール拭きで終業します。

所要時間の目安:走行距離 60〜80 km/日、実働 10〜11 時間。

高齢者対応と接客の注意点

  1. 見守り機能を意識
    • 週2回の定期訪問は“安否確認”を兼ねる。顔色・室温・在庫状況の変化を感じたら家族や地域包括支援センターへ共有する仕組みが推奨されます。
  2. 「売りすぎない」配慮
    • 食品ロスと誤服薬を防ぐため、同じ商品を短期間で買おうとする顧客には摂取量をヒアリングして購入を見送る声掛けを徹底。
  3. 聞き取りやすい声量と速度
    • 聴力が低下した高齢者には、やや低めの声でゆっくり話す。耳が遠い顧客には商品の色や形を示すジェスチャーを併用。
  4. キャッシュレス補助
    • 家族代行決済(交通系IC・QR)や伝票払いを導入し、現金管理の負担を軽減。

一人運営とスタッフ同行のパターン

形態人員メリット留意点主なケース
基本:オーナー単独1 名人件費ゼロ/意思決定が速い長時間運転・接客で体力消耗大大半の販売パートナー(個人事業主)※原則単独運営
繁忙期サポート1 + パート1 名積み込みと接客を分担、売り逃し防止時給1,000〜1,200円×5h の追加コスト夏・年末、イベント販売
2 名常時同行2 名高齢者介助・品出し迅速/新人育成人件費増で利益率低下大型車(2 t超)や自治体委託案件

ポイント

  • 売上150万円/月を超え始めた段階で“パート半日同行”を導入すると、運転者は接客に専念でき客単価が伸びる傾向。
  • 人件費は粗利を直接圧縮するため、巡回件数が多い金曜・土曜だけ同行など「曜日限定シフト」が損益バランスを取りやすい。
  • 助手席スタッフを地域ボランティアと連携して確保し、見守り事業費で手当を賄う自治体協定モデルも増加中。

このように、cocomart の日常オペレーションは 「定時巡回を守りながら、鮮度維持と高齢者ケアを両立させる細やかな所作 が要諦です。継続稼働には、ワンオペでも回る仕組みをベースに、繁忙・多客局面で柔軟に人手を増やすハイブリッド体制が推奨されます。

実際のオーナー事例と地域別傾向

地方都市での成功事例(月商100万円超え)

新潟県見附市で 「とくし丸」ブランドを38台走らせている株式会社マルイのケースでは、1ルート当たり日販6~17 万円――週5日運行なら月商120~400 万円が射程に入ります。売れ残りは店頭に戻せる「預かり販売」方式でロスを最小化できるうえ、自治体との協定で車両購入補助や燃料補助を受け、利益率を確保しています。

成功の決め手は ①店舗を起点に半径15 km圏内でルートを高密度化 ②JAや地域福祉協議会と連携し口コミを加速 ③冷蔵・冷凍混載の軽トラックを導入し客単価を上げたこと――の3点です。

都市部で苦戦した事例と改善策

一方、東京都新宿区で個人オーナーが同じ「とくし丸」車両を運行した例では、月商が60~80 万円台で伸び悩みました。背景にあったのは ①駐停車規制が厳しく路上販売ができない ②徒歩5分圏にコンビニが乱立し価格競争が激しい ③マンションの管理組合と交渉するまでに時間が掛かる――といった都市特有のハードルです。

改善策としては、(1)マンション敷地内や高齢者施設との「予約販売会」を週2回固定開催し来店コストをゼロ化、(2)昼間は公園・児童館前で子育て層向けに総菜とオムツをセット提案する「二毛作」営業、(3)SNS広告より地域包括支援センター経由のチラシ配布へ販促費をシフト、などが奏功し粗利率が18%→22%へ回復したと報告されています。

地域密着とリピート率の関係性

移動スーパー利用者の約8割が70 歳以上で、週2回の巡回を生活リズムに組み込んでいる――と消費者庁の白書は指摘します。販売パートナーが玄関先で安否確認を兼ねた会話を行い、荷物を室内まで運ぶ支援を付加することで、「顔見知り効果」によるリピート率(※2回目以降の購入比率)が80%超まで高まるのが特徴です。固定店と比べ顧客接点が長い分、天候不良や車両トラブル時にも電話1本で再訪を約束でき、客離れを防げます。逆にリピート率が60%を切ると、日販10 万円を維持できず黒字ライン(月商約90 万円)を割り込むリスクが高まるため、開業前に「見守り協定」や自治体後援イベントなど信頼醸成の仕組みを組み込むことが不可欠です。

cocomartの強みとリスク

競合が少ないエリア戦略の魅力

  • “空白地帯”を狙い撃つ独占テリトリー制
    • 最大手 とくし丸 が全国 47 都道府県に 1,100 台超を走らせているものの、自治体単位で見ると未出店エリアはまだ多く、1 市町村あたりの平均稼働台数は 0.7 台にとどまります。
    • cocomart 本部は加盟契約時に「半径 5 km 以内」を独占営業権として付与し、同ブランド同士の食い合いを禁止。競合が少ないローカル市場で 初月から固定客を囲い込みやすい 仕組みです。
  • 自治体補助金をセットにした低リスク参入
    • 福岡県や宮崎県など複数の自治体が車両購入費の 1/3(上限 100〜150 万円)を補助する制度を設けており、cocomart 加盟店も対象になり得ます。
    • こうした補助を活用すれば 初期投資を約15〜25 %圧縮 でき、黒字化までのキャッシュアウトを抑制できる点が他業態より優位です。

営業継続に必要な体力・人脈・集客力

  • “走って・話して・売る”体力
    • 経産省のマニュアルによれば、移動スーパーは店舗を基点に 半径 7〜8 km を 1 日 40〜50 件巡回するのが標準モデル。
    • 路上運転 3〜4 時間+積み降ろし・接客 6 時間の 実働 10 時間超 が常態化するため、長期的には運転者の健康管理が収益を左右します。
  • 地域コミュニティへの“溶け込み力”
    • 客単価アップのカギは「御用聞き」型提案とクチコミ。自治会・老人会との情報共有や、民生委員が同乗する“見守り便”を週1回組み込むなど、人脈づくりが売上の増減に直結します。
  • 集客は“販促<信頼”
    • SNS 広告より、包括支援センター経由チラシや福祉施設での試食会が効率的だった――という都市部オーナーの改善事例も報告されています。

リスク事例:天候・車両トラブル・客層変化

リスク具体例影響・対策
悪天候強風や豪雨で停車不能・客足減雨風を避けられる施設駐車場と屋内イベントを平日予備ルートとして確保
車両トラブル特殊架装車は修理工場が限定、代車手配に数日本部が提携する専門業者と“24h 代車パック”に加入(年 6 万円程度)
突然の休業故障で運行休止・顧客離脱(コープ「コポ丸便」の例)休業前に電話連絡+スーパー店頭販売で代替、再開後に謝恩セール
客層変化再開発で若年層比率が拡大し高齢者の需要減惣菜・冷凍食品を増やしワンマイルニーズへ転換、夕方ルートを新設

まとめ

cocomart の“強み”は 競合の薄いテリトリーで早期に固定客を囲える点、一方“リスク”はイベント要因(天候・車両)の停止=売上ゼロに直結しやすい点です。初期段階で「代替ルート・代替車・代替販路」を三位一体で仕込んでおくことが、安定収益の必須条件と言えるでしょう。

加盟前に確認すべきポイント

自治体補助・支援制度の活用有無

  • 車両導入費を肩代わりしてくれる自治体がある
    • 例として久留米市は「移動販売車導入補助金」を設け、車両購入・改造費の 50%(上限100万円) を補助し、週4日以上の定期巡回を条件にしています。
  • 県単位・政令市単位で“移動スーパー枠”が拡充中
    • キッチンカー向け補助金を横展開する形で、2025年度は福井県鯖江市や東京都・大阪府などでも「移動販売車導入促進事業費補助金」が新設・拡充され、補助率は概ね 1/2・上限30〜200万円 のレンジが主流です。
  • チェックリスト
    1. 車両購入or改装が対象か(リース契約は対象外の自治体も多い)
    2. 継続運行日数・高齢者見守り協定の義務有無
    3. 申請時期と予算枠(年度途中で終了するケースが頻発)

出店エリアの需要調査方法

  • “戸別訪問×1か月”を基準に潜在顧客を可視化
    • 大手移動スーパーとくし丸では開業前に 1カ月以上かけて数千軒を訪問 し、世帯構成・要介護度・買い物手段をヒアリングしてコースを設計。こうした地上戦により1台あたり平均日販10万円を達成しています。
  • データ+現地歩きの二段構え
    1. 国勢調査・住基台帳から「65歳以上比率×自家用車保有台数」を地図に落とす
    2. 商圏内の自治会長・民生委員に同行し、徒歩圏に店舗がない住宅群を面で把握
    3. 訪問時に“予約メモ”を取り、開業初週からリピート客を抱え込む
  • 目安
    • 開業前に 1,000世帯あたり150–200名の利用見込み が立てば、月商100万円ラインに乗るとされています。

サポート内容とロイヤリティ体系の確認

  • ロイヤリティは “5〜6% or 定額” のいずれか
    • 小売系フランチャイズの相場は 売上の3〜6% が中心で、飲食より低め。売上歩合方式と定額方式で資金繰りのリスクが変わるため、自分の売上計画に照らして比較必須です。
  • 費用に含まれる具体的サポートを洗い出す
項目代表的な内容質問例
開業前需要調査同行、ルート設計、車両発注支援「需要調査は本部スタッフが何日間同行するか?」
開業時3〜5日間の同乗研修、POS設定、広報チラシ「同乗研修は売上が立つまで無料か?」
開業後月次面談、仕入れ・販促提案、アプリ更新「ロイヤリティにアプリ利用料は含まれるか?」
  • “追加費用”の落とし穴を確認
    • システム利用料・アプリ更新料・テリトリー延長料などがロイヤリティ外で課金されるケースもあるため、「月次請求書の内訳サンプル」を取り寄せて総支払額を把握しておくと安心です。

加盟前にこれら3点を精査すれば、補助金で初期投資を圧縮し、需要確度を高め、ロイヤリティ負担を適正化したうえで参入可否を判断できます。

まとめ|「社会貢献×収益性」の両立は可能か

安定収益のために必要な地域選定と営業力

  • “買い物空白地帯” の絶対人口と密度を両面で確認する
    • 65 歳以上比率 × 自家用車非保有世帯数が多いほど固定客化が早い。住宅密集度が低すぎると巡回効率が落ちるため、「高齢化率 30%超 × 1 km²あたり人口 500 人以上」 を目安にテリトリーを組むと走行距離と客数がバランスしやすい。
  • 初動3か月は “密着営業” に専念
    • 開業直後は来店ハードルを下げるため、無料試食・困りごとヒアリング・チラシ手渡しを徹底し、リピート率 60%突破が損益分岐点。客単価アップ策(惣菜の夕方値引き、まとめ買い割引)で粗利を底上げし、燃料費高騰リスクを吸収できる体質を早期に作る。

小資本で始められるが、体力的負担も考慮を

  • リース+補助金で現金支出を 150 万円前後に抑えられる 一方、ワンオペ運営の場合は実働 10~11 時間が常態化。搬入時の20 kg ケース運搬や猛暑下の巡回は想像以上にハードで、「週1休を確保できる人員・家族サポート」 を事前に用意しておくと離脱リスクを下げられる。
  • 利益率は 10~15%と飲食店より高めだが、燃料費と車両トラブルが発生した月は一気に赤字転落 もあり得る。減価償却費・修繕費を見越して「実質営業利益=売上×7~8%」で計画すると資金繰りに余裕が生まれる。

現地見学・シミュレーションで検討を深めよう

  • 既存オーナーへ1日同乗してリアルな運行負荷を体感
    • ルート距離、停車環境、顧客属性をチェックし、自分の生活リズムとの相性を測る。
  • 市区町村の買い物支援担当・包括支援センターにヒアリング
    • 補助金や見守り事業の連携余地を洗い出し、固定契約(委託事業)を取り付けられれば初年度売上の不確実性が大幅に下がる。
  • 本部の売上シミュレーターに“最悪値”を入力して損益を試算
    • 客単価 1,100 円・1日販売人数 25 人・ガソリン 190 円/L など保守的条件で黒字になるかを必ず確認。

結論

cocomart は 「高齢化ニーズを捉えた社会貢献ビジネス」 と 「粗利を確保しやすい委託販売モデル」 を両立できる点が魅力。ただし成功には地域選定の精度と継続運営を支える体力・人員計画が不可欠です。補助制度の活用、現地見学、シミュレーションを重ねたうえで参入可否を判断すれば、持続的な黒字化と地域貢献の双方を実現できる可能性は十分にあります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次
閉じる