えびすカレーFCの原価率と人件費

近年、街中で急増するカレー専門店。その中でも関西を中心に店舗数を伸ばしているのが「えびすカレー」です。比較的低コストで開業できるとされ、個人オーナーからも注目を集めていますが──

  • 食材原価や人件費はどのくらいかかるのか?
  • フランチャイズとして本当に儲かるビジネスモデルなのか?
  • 他ブランドと比べて費用対効果はどうなのか?

こうした疑問に答えるべく、本記事では「えびすカレーFCの収益構造」を深掘り。

原価率・人件費・ロイヤリティをはじめ、初期費用と月間収支モデル、他社との比較、オーナー事例まで網羅し、開業前に知っておきたい数字と実態をわかりやすく解説していきます。

これからカレー業態で独立を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

えびすカレーとは?ブランド概要と出店実績

発祥地・コンセプト・メニュー構成

「えびすカレー」は、関西圏を中心に展開するカレー専門フランチャイズチェーンです。発祥は大阪市内で、下町の商店街に1号店を構えたのが始まり。特徴は「旨辛欧風カレー×和風だし」という独自の味わいで、老若男女問わず幅広い層に支持されています。

メニュー構成はシンプルかつ高回転型で、主力商品は「えびすカレー(並・大盛)」と「トッピング自由選択制」。カツ・からあげ・目玉焼き・チーズなどを自由に組み合わせられる点が、若年層を中心に人気の理由です。また、1品500円台〜と低価格帯でありながら、盛りの良さと満足感が売りとなっています。

店舗数の推移と主要エリア

2020年時点では10店舗未満でしたが、2024年には30店舗以上を突破し、急成長中のブランドとして注目されています。出店エリアは大阪・兵庫を中心に、京都や滋賀にも拡大しており、最近では名古屋・福岡にも進出。ロードサイド型の直営店に加え、10坪前後のテイクアウト特化型店舗も登場し、多様な出店モデルを採用しています。

加盟希望者の8割以上が未経験者というのも特徴で、本部による研修・レシピマニュアルの整備がしっかりしており、1人運営・省人化・高回転」を可能にする設計になっています。

他カレーFCとのポジショニング

カレーFC業界には、「ゴーゴーカレー」「Coco壱番屋」「カレーのチャンピオン」などの大手・老舗ブランドが存在しますが、えびすカレーは“低投資・高回転”型のスピード開業モデルで明確に差別化されています。

  • Coco壱番屋…加盟金500万円以上・店舗規模20坪以上
  • えびすカレー…加盟金100万円台・10坪以下で出店可能

という具合に、初期費用とオペレーション負担の軽さを武器に、個人開業者や副業層を中心に選ばれているブランドです。調理工程も簡素化されており、短期間の研修で即戦力になれる点も大きな魅力となっています。

開業コストと初期投資の内訳

加盟金・保証金・研修費の目安

えびすカレーに加盟する際の初期費用は、業界平均と比較して抑えめです。主な内訳は以下の通りです:

  • 加盟金:約110万円(税込)
  • 保証金:50万円〜(契約満了後返還あり)
  • 研修費用:約30万円(1〜2週間の実地研修含む)

本部提供の業務マニュアルが充実していることに加え、短期集中型の研修制度により、未経験者でもスムーズにスタートできる体制が整っています。

厨房設備・内装工事費の実額レンジ

店舗タイプによって大きく異なりますが、標準的な10坪前後のテイクアウト型モデルを例に取ると、厨房・内装費の目安は以下の通りです。

  • 厨房機器・調理設備:約150〜250万円
  • 内装工事費(外装・床・壁・照明含む):約120〜200万円

初期投資を抑えるため、中古機器の活用やスケルトン物件の簡易施工を推奨されるケースも多く見られます。また、物件によっては居抜き物件を活用し、費用を大幅に圧縮できたオーナー事例もあります。

プレオープン費・運転資金を含めた総投資額モデル

見落としがちな費用として、プレオープン時の宣伝広告費や、人件費、食材仕入れ、レジ端末などが挙げられます。えびすカレーの場合、以下のような総投資モデルが目安になります:

項目金額(概算)
加盟金・保証金約160万円
厨房・内装約300万円
備品・什器約50万円
プレオープン広告費約20万円
運転資金(3か月)約100万円
合計約630万円〜

これは比較的低コスト型に分類されるモデルであり、同業種の他ブランドが800万〜1,000万円超に達するのと比べると、えびすカレーは参入ハードルが抑えられているのがわかります。

原価率の実態|食材・仕入れコストを分解

主原料(カレーソース・米・トッピング)の原価比

えびすカレーの代表的なメニュー構成は、特製カレーソース+ライス+揚げ物トッピングという王道スタイル。各要素の原価比は以下の通りです:

  • カレーソース(ルー):約10〜12%
  • 米(国産ブレンド米):約5〜7%
  • トッピング(揚げ物・野菜):約6〜9%
  • その他副材(容器、調味料、包装材):約2〜3%

メニュー価格帯が700円〜1,000円と高すぎず低すぎない絶妙なラインに設定されており、粗利を確保しながらも顧客満足度を損なわないバランスを実現しています。

えびすカレー独自のセントラルキッチン供給体制

えびすカレーでは、本部直営のセントラルキッチンを活用し、各店舗へレトルト状態でルーを一括供給。これにより以下のような利点が生まれます:

  • 味の均一化とブランドイメージの維持
  • 店舗側での調理オペレーション負担が大幅減
  • 仕入れ量の集中によるスケールメリット

とくに「大量製造 × 小分け納品」により、小ロット店舗でも原価の安定化と在庫リスク低減が実現できている点は、FC加盟者にとって大きな魅力となっています。

原価率を25%台に抑える仕入れロジック

えびすカレーの平均原価率は約24〜27%台。これはカレー業態の中でも優秀な数値とされており、理由は以下の3点にあります:

  1. セントラル供給のスケールによる仕入れコスト削減
  2. トッピング選択制により客単価を引き上げつつ、基本部分は低原価で構成
  3. 冷凍保管・配送の最適化によるロス低減

これらにより、月間の変動費を安定的にコントロールし、売上規模に応じた利益確保がしやすい収益構造を築いています。

人件費構造とオペレーション設計

ワンオペ/ツーオペで回せる理由

えびすカレーでは、多くの店舗がワンオペまたはツーオペでの営業を可能にしています。その背景には、本部によるマニュアル化されたオペレーション設計とセントラルキッチンからの半加工品供給があります。

  • 調理は「温める・盛りつける」が中心で、専門調理スキルが不要
  • 券売機やセルフ会計を導入することで、接客業務も最小限
  • イートインスペースが小規模またはなしで、配膳・片付け工数も削減

これにより、1人でも昼ピークをカバー可能な運営体制が整っており、パート・アルバイト中心でも安定稼働が実現できます。

時給モデル別・人件費シミュレーション

以下は、標準的なワンオペ・ツーオペ運営の月間人件費モデルです(※東京都内、時給¥1,100前後で試算)。

パターン稼働人数稼働時間/日月稼働日数月間人件費の目安
ワンオペ1名9時間26日約257,400円
ツーオペ(交互)2名6時間ずつ26日約343,200円
ツーオペ(全日)2名9時間ずつ26日約514,800円

地域差はあるものの、月商100万円前後の小型店でも粗利から十分吸収できる水準に設計されています。

キッチンレイアウトと動線最適化で削減できるコスト

えびすカレーでは、最小10坪〜15坪の厨房一体型店舗が標準。店舗設計には以下の工夫が施されています。

  • 冷凍・冷蔵・加熱設備を1直線上に配置し、移動ロスを削減
  • 下処理不要な素材供給により、調理スペースも最小限
  • 注文導線と受け渡し口を1箇所に集約して、接客と調理の分離を実現

この設計により、ピーク時の人員追加が不要な店舗運営が可能となり、結果として人件費率15%以下の維持が現実的な水準となっています。

月次損益モデルと利益幅

月商別(300万・500万)収支シート例

えびすカレーのフランチャイズモデルでは、立地や業態によって売上にばらつきが出るものの、月商300万〜500万円が一つの基準とされています。以下は、それぞれの月商における想定収支モデルの一例です(都心エリア想定/家賃25万円・人件費は前項参考):

項目月商300万円モデル月商500万円モデル
売上¥3,000,000¥5,000,000
食材原価(25%)¥750,000¥1,250,000
人件費(15%)¥450,000¥750,000
家賃¥250,000¥300,000
ロイヤリティ¥90,000(3%)¥150,000(3%)
水道光熱費等¥100,000¥130,000
その他経費¥100,000¥130,000
営業利益¥1,260,000¥2,290,000

人件費や家賃の最適化次第では、営業利益率40%前後も可能な収益モデルとなっており、低投資型飲食業の中ではかなり収益性が高い部類に入ります。

原価率×人件費率から見る営業利益率

えびすカレーの強みは、原価率25%前後+人件費率15%前後というコスト構造にあります。飲食業界では、FLコスト(Food+Labor)が60%を超えることも珍しくありませんが、同ブランドではFLコスト40%未満を維持できる点が大きな武器です。

これはセントラルキッチンの活用と、オペレーション効率化による省人化の成果であり、小規模運営でも利益が残るスキームを構築しています。

投資回収期間とキャッシュフローの推移

初期投資額(開業費用)は約800万〜1,200万円が目安。仮に営業利益が月100万円以上確保できる場合、回収期間は12ヶ月〜18ヶ月が現実的な水準とされています。

また、黒字化が早いため、2年目以降は月々のキャッシュフローに余裕が出やすく、複数店舗展開の原資を内部から賄える点も大きな魅力です。金融機関からの評価も高く、追加融資を受けやすい業態という声もあります。

実際のオーナー事例:成功と課題

都市型10坪モデル:平日ランチ特化で月商400万円

東京都内のビジネス街に出店したAオーナーは、約10坪・カウンター6席のみの都市型モデルで運営。駅徒歩3分の立地と、オフィスワーカー向けに平日ランチタイムを中心とした営業スタイルに特化することで、月商400万円を安定的に達成しています。

回転率を上げるために導入した「テイクアウト専門レーン」が功を奏し、1人あたり平均滞在時間は15分以下。人件費は1名+補助スタッフ1名のツーオペ体制で、人件費率13%台を実現。加えて、メニュー数を絞ることでオペレーションも単純化し、原価率25%台をキープできている成功例です。

郊外ロードサイド型:テイクアウト比率60%の戦略

一方、千葉県の郊外にあるBオーナーは、20坪のロードサイド店を運営。駐車場を10台分完備し、近隣の住宅地をターゲットにした戦略を採用。注目すべきは、テイクアウト比率が60%以上という点で、Uber Eatsや自社アプリを駆使した注文導線が整備されており、デリバリー比率も20%超

家族連れを意識した「ファミリー向けセットメニュー」を導入したことで、客単価1,200円台を実現。月商は300万〜350万円、営業利益率は30%前後を維持しており、住宅街立地でも勝てるモデルの実例といえます。

失敗事例に学ぶ客数不足とコスト超過の要因

一方で、Cオーナー(地方都市中心街に出店)は、家賃25万円超・従業員3名体制・メニュー数多めという構成で運営していましたが、初月売上が目標の60%未満にとどまり、赤字が続く結果に。

主な要因は以下の通りです:

  • 立地選定の見誤り(昼間人口が少なく、夜間需要も弱いエリア)
  • 過剰な初期投資(厨房機器に約400万円を投入)
  • オペレーションの複雑化による回転率の低下

Cオーナーは現在、メニューの絞り込みとワンオペ化によるコスト見直し中ですが、立て直しには時間がかかる見通し。**「成功事例に引っ張られすぎず、自店の商圏分析とコストバランスを冷静に設計する」**という学びを残す失敗事例です。

えびすカレーFCのメリット・リスク総まとめ

利益率を押し上げる強み3点

えびすカレーのフランチャイズには、飲食業の中でも比較的高利益率を実現しやすいという特徴があります。主な強みは以下の3点です。

  1. 原価率の低さ:
    • セントラルキッチンからの集中供給により、主要食材(カレーソース・米・トッピング)の原価を効率的にコントロールでき、**原価率は平均25〜28%**に抑制可能です。
  2. 少人数オペレーション:
    • ワンオペ〜ツーオペ体制で回る設計となっており、人件費率が15%台で収まるケースも多く見られます。厨房導線や調理プロセスの簡素化が、労務コスト削減につながっています。
  3. プレーンな商品構成と安定した回転率:
    • スピード提供を意識したシンプルなメニューラインナップが功を奏し、ランチ帯を中心とした高い回転率を確保できるため、少スペース・低坪単価でも戦えるモデルです。

リスクと対応策(競合・立地・人材)

一方で、えびすカレーFCにも当然リスクは存在します。主な注意点とその対策を挙げます。

  • 競合とのバッティング:カレー業態は近年、専門店・チェーン問わず出店が活発です。地域内に複数ブランドが乱立していないか、商圏調査を事前に実施しましょう。
  • 立地の適性:オフィス街・住宅街・駅近と、商圏特性によって客層や回転数が大きく変化します。過去のオーナー事例を参考に、坪数と昼夜の集客動線を照らし合わせることが鍵です。
  • スタッフ採用と定着:調理スキル不要とはいえ、一定の接客力・清潔感が求められます。採用難易度の高いエリアでは、人件費を想定より上乗せして試算するのが無難です。

加盟前チェックリスト:原価と人件費を見極めるポイント

以下のチェックリストは、本部と面談・資料請求を行う前後に確認すべきポイントとしてご活用ください。

チェック項目確認のポイント
原価率セントラルキッチン価格・ロス率・トッピング仕入れ先の自由度は?
人件費実際のオペレーション人数と1時間あたりの作業負荷は?
客単価周辺相場と比較して価格設定は競争力があるか?
回転率ランチ帯/ディナー帯の客入り見込みと回転回数は?
開業コスト追加工事や備品購入に想定外の費用が出ないか?
本部サポート開業前後の研修・運営支援はどこまでカバーされているか?

「利益率が高い」といわれる業態でも、人件費や回転率の変動で黒字幅が大きく異なります。冷静な数値分析と、現場視点のすり合わせが成功の鍵になります。

まとめ|資料請求と損益試算で次の一歩を

自店条件でのシミュレーション方法

この記事では、えびすカレーフランチャイズの原価率・人件費・利益構造について多角的にご紹介してきましたが、実際の収支は出店エリア・坪数・想定客単価などによって大きく異なります。

したがって、開業検討の第一歩として推奨したいのは、**「自分の条件での損益シミュレーション」**を行うことです。

本部が用意している簡易シミュレーターを使えば、

  • 想定家賃(例:15万円)
  • 月間客数(例:2,500人)
  • 人件費率(例:18%)

などのパラメータを入力するだけで、おおよその営業利益・キャッシュフローを試算できます。

自分にとって現実的な数値で、損益分岐点を超えられるかを冷静に把握しておくことが重要です。

無料説明会・店舗見学で確認すべき項目

えびすカレーでは、定期的に個別相談・説明会・既存店舗の見学ツアーを実施しています。参加する際には、次のようなポイントを確認しておくと有意義です。

チェック項目内容
既存店の売上/利益モデル実際のオーナーがどのように利益を確保しているか
セントラルキッチンの供給体制食材納品の頻度・鮮度・ロス対策の仕組み
人材育成・採用サポート本部の採用支援内容、研修後の定着率
オーナー支援制度融資紹介、物件選定の支援、開業後の訪問頻度

疑問点や懸念があれば、その場で担当者に確認できるため、資料だけではわからない実情に触れる貴重な機会です。

開業までのロードマップとサポート体制

最後に、開業までの流れと、どのような支援があるかをまとめておきます。以下は代表的なスケジュール例です。

  1. 資料請求・初回面談(1週間)
  2. 契約前の個別相談/説明会(1〜2週間)
  3. 加盟契約/物件選定(2〜4週間)
  4. 研修/内装工事/プレオープン準備(4〜6週間)
  5. オープン/初動支援(初月訪問サポートあり)

本部は出店希望エリアに応じて物件提案や銀行融資紹介、内装業者の紹介なども行っており、初めての開業でも安心してスタートできる体制を整えています。

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